マダムの後ろにいた男

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マダムに言われるがままに車に乗せられて、ある場所へと向かいました。

 

到着した場所は、山の中にポツンと建った

一見するとお洒落な隠れ家的な喫茶店のような建物でした。

 

マダムと一緒に、その中に入ると

 

2人組のカップル?
もしくは夫婦?

 

そんな2人が、1人の女性から何やら説明を受けていました。

その光景を見て

 

(あ、もしかして……)

 

その嫌な予感は的中して、それはマダムが石垣島で言ってきた「ゲームが何ちゃら」というマルチの説明でした。

 

その2人が帰ると、マダムがその女性に色々と話をして、今度は僕にマルチの話が始まりました。

 

マダムよりも、さらに詳しく説明をする女性。

それを聞きながら、僕は心の中では警戒をしていたものの

 

ちょうどその頃は、お金をどうするかで焦っていたタイミングでもあり

 

(いや、もし本当に稼げる話だったら……)

 

その心の隙間に見事に入り込まれるように

マルチの甘い話に少し惹かれていく自分もいました。

 

一通りの説明を受け、その日はマダムの家に戻りました。

 

そして、次の日。

また同じ場所にマダムと行くことになりました。

 

そこに待っていたのは、マダムがやっているマルチのチームリーダーの男性I氏でした。

つまり、マダムや前日に会った女性のボスの登場です。

 

I氏は、それまでマダム達が話した内容に加え

自身の体験談なんかも交えて話し始めました。

 

元々は30年以上美容師をしていたこと。

途中で体の不調から美容師を続けるのが難しくなり、将来の不安を覚えて、

 

「このままでいいのか?」

 

と思い始めたこと。

そうして辿り着いたのが、現在の「仕事」だと言っていました。

 

I氏はとにかく一心不乱に人を紹介しまくって

最初の1、2カ月で100万円を超える報酬を手にしたと言っていました。

 

そして、本格的な勧誘が始まりました。

 

どういった仕組みでお金が稼げるのか。

資料を見せながら、具体的な説明が始まりました。

 

「やるなら今しかない!」

「ゆうがさん、本当に運がいいよ!」

「この権利を手に入れられるのは今だけだよ!」

「来月には本格的にプロジェクトが動き出すから、同じ条件では参加できない!」

 

今となってはマルチの常套句だと分かるんですけど

 

何せお金に焦っていたのと

完全に隔離された状態で、外に出て冷静に考える時間もなく

同じ話を何度も聞いていると、一種の洗脳のような感覚になってですね。

 

これは、とんでもないビッグチャンスなのではないか!?

 

と、少しずつ本気で考え始めてしまってました。

 

ちなみに、この時

 

「いや~実はパチプロからパチンコを学んで稼ごうかなって考えてるんです~、あはは~」

 

って言ったら

 

「はあ? パチンコ? そんな怪しいもので稼げる訳ないじゃん!」

 

って、マダム達から一蹴されてます。

 

今となっては、

 

怪しいってお前らが言うか!

 

って感じですよね(笑)

 

あれから1年経つけど

 

パチンコで稼げてますよ、バーカ!

 

おっと失礼しました。

つい本音が出てしまいました。

 

さて、そのI氏からマルチの説明を受けて、もし入会するならいくら必要かの話になりました。

 

そのマルチは1口~3口まで選べて、I氏は3口の方が色々とお得だよ!と言ってきました。

 

でも、1口の値段は11万円でした。

3口だと33万円。

 

決して安くないじゃないですか。

 

僕は、この後に続いたI氏の言葉に、少し不信感を抱くようになっていきました。

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「ゆうがさん、たったの11万円だよ! たった11万円で大金を稼げるチャンスだよ!」

 

は?

「たった11万円」だと?

こっちにとったら大事なお金なんだぞ?

人様のお金を「たった」ってお前が決めるな!

 

僕は内心こう思っていました。

この言葉を聞いて、僕が少し渋っていたら

 

「ゆうがさん、そんなにお金がなかったら紹介者のマダムからお金を借りて、とりあえず入会するだけでもいいと思うよ!」

 

いや、お金があるとかないとかの前に

他人からお金借りてまで勧めるのはどうなのよ……

 

百歩譲って、I氏がお金を貸すならまだしも

他人に借金しろとか勧めるなよって感じでした。

 

僕の中では、ますますI氏への不信感が強くなっていったんですね。

 

だけどね。

先に結論を言ってしまうと

僕は結局11万円を払ってしまいます。

 

その日は一旦保留にしてマダム邸に帰ることになったんですけど

そこからもマダムの勧誘は続きました。

頭では「マルチだ」と分かっている。

 

それでも

 

「もし本当に稼げたら……」

 

という、僕の心の隙間がありました。

 

あと、マダムにお世話になっていることも負い目を感じていたり。

宿泊だけでなく、毎日食事も用意してくれました。

 

そして、マダムの家は周りに何もない場所。

 

車を持っていない僕には、逃げ場もありませんでした。

今となっては、色んな要素が絡み合って

本当は断りたいのに、断れない状況になっていたんだと思います。

 

……さて。

ここまで読んで

 

「いや、11万円払ったんかい!」

 

と思った人もいるでしょう(笑)

 

はい。

払いました。

払ってしまいました。

 

じゃあ、その11万円はどうなったのか?

そして僕は、無事にマダムの家から抜け出すことができたのか?

 

次回、いよいよこのマダムとの一件もクライマックスです(笑)

 

次は神奈川県に到着して、ルキノさんに会う直前。

 

ここで

これまでずっとお世話になっていたマダムとの関係が

少しずつおかしくなっていきます。

 

そして、いよいよ僕も我慢の限界を迎えることになります。

もう少しだけ、お付き合いください。

 

 

── 旅の余白 ──

 

先日ね。

古物商のプロに会ってきたんですよ。

約1年ぶりに。

 

去年の今頃は、その人にパチンコやスロットを教えながら

一緒に茨城県で稼働してた時期があって。

 

その時に僕が「沖ドキゴージャス」っていう機種で

かなり良い台を見つけたんですね。

 

そして、その沖ドキを古物商のプロに打ってもらったんだけど。

 

最初はハマって中々出なくて怒ってて。

自分はある程度ハマるのは想定内だったから何とも思ってなかったけど

 

その人はスロットの知識がないから

 

「何でこんな台打たせるんだ!」

 

って感じだったみたい(笑)

 

でも、その後に見事に狙い通りに出てくれて

気付けば58連、約8700枚もメダルが出たんです。

 

「あー良かった良かった」

 

って思ってたら

 

その人は

 

「まだ連チャンすんのかよ!光るんじゃねーよ! もう疲れたよ!」

「隣のおばちゃん、すげー睨んでくるし!」

 

って。

 

結局、出ても出なくても怒ってました(笑)

 

そして、その隣のおばちゃん、負けてたんだろうなー。

 

そんな思い出話をしながら、楽しい時間を過ごせました。

やっぱり旅はいいですね。

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